チョウザメとサメの違いとは
チョウザメ
山梨県で唯一の水族館である富士湧水の里水族館では、チョウザメの姿を見ることができます。
このチョウザメという魚は、卵が高級食材のキャビアになることでも知られています。
チョウザメと言うと、名前に「サメ」が付いていることから、サメの仲間ではないかということで怖い印象を抱くかもしれません。
しかし、チョウザメという名前は、サメと見た目が似ていることに由来するだけで、サメの仲間ではありません。
また、背中や体にある硬い鱗の形が、蝶が羽を広げた姿に似ていることも、「チョウザメ」という名前の由来となっています。
それでは、チョウザメは、一体なんの仲間かと言うと、あくまで「チョウザメ」という種類の魚であって、サメとは別の魚であり、その特徴にもだいぶ違いが見られます。
たとえば、チョウザメの生息地は、海ではなく、川や湖など淡水域です(川で生まれ、海に下り、成長したらまた川に戻って卵を産む、という種類もいます)。
野生のチョウザメは、ロシアやヨーロッパ、アジア北中部や北米など北半球に生息しており、日本にはいません。日本における天然のチョウザメは、事実上、絶滅したと考えられています。
チョウザメは、日本近海では北海道や東北の沿岸で見られることがあり、河川ではかつては石狩川、天塩(てしお)川、釧路川、十勝川に遡上していました。しかし大正時代から昭和初期にかけて急激に減少し、今では見られなくなってしまいました。
(中略)
現在、日本ではチョウザメは事実上絶滅したとされています(環境省と北海道のレッドリストには絶滅種として記載されている)。昭和初期に激減した理由は明らかではありませんが、河畔林の減少など河川環境の悪化が原因ではないか、とも言われています。
サメと言うと、“人喰いザメ”と呼ばれるような獰猛な肉食の魚というイメージもありますが、チョウザメには鋭い歯がなく、ヒゲを頼りに水底の小さな生物を餌にしています。
人にとって危険性が少なく、人を襲う恐れも低いので、水族館のなかでは、手を入れてチョウザメに食いつかせてみる、という体験を行っている場所もあるようです。
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その他、チョウザメとサメの違いとしては、チョウザメが硬骨魚類なのに対し、サメは軟骨魚類です。
硬骨魚類とは、全身の骨格が「硬骨」と呼ばれる硬い骨でできている魚を意味します(ただし、チョウザメ類は硬骨魚類のなかでは軟骨の割合も大きい生き物です)。
一方、サメやエイなど、軟骨魚類は、軟骨と呼ばれる軟らかい骨で構成されている魚を指します。
また、チョウザメには腎臓があるものの、サメには腎臓がないという点が、違いとして挙げられています(サメも腎臓がないわけではなく、腎臓はあるものの複雑な構造になっている、という解説もあります)。
それから、チョウザメには浮き袋があり、一方、サメは浮き袋を持っていません。
魚類がもつ,気体が入った袋状の器官。消化管の背方にあり,膜状で,中にあるガスの量でまわりの水に合わせて体の比重をかえる。ほかに,浮き袋が肺のような構造になっていて,呼吸したり,袋の壁についた筋肉の収縮によって,発音したりするものもある。
こんな風に、チョウザメとサメには構造上の違いが多く見られます。
ちなみに、英語では、チョウザメはsturgeon(読み方は「スタージョン」)、サメはsharkと言います。